イベントナガノがコロナ禍で様々なイベントを視察・運営サポートしてきた中で、イベント運営をどうするのが一番良いかをメリット・デメリットを踏まえて現状の「ベター」な方法を模索する企画。
今回は入場待機列の整列方法に関しての考察と提案です。イベントナガノでは以下の方法を提案します。
各種備品【足元POP、コーン&バー、ポール&ロープなど】を多めに用意して活用しましょう
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スーパーでのレジ待機列でもよく見かけられるようになった、足元POP。お客様にとって分かりやすく、見ると自然と間隔を取ってくださるので、整列には楽かつ簡単な方法です。
無料でイラスト配布されているものも多くあり、ダウンロード→印刷→ラミネート加工すればすぐに利用できますのでお手軽です。
イベントナガノでもデータをご用意しておりますので、ご活用いただければと思います。
整列する全員分の足元POPを用意すべきなのだろうかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、コンサートなど毎回準備と片づけを行う業務では大変な手間になってしまいます。
私どもの経験上、最初の10~20名分を床に貼り付けておけば十分です。それよりも後ろのお客様へは、スタッフがお声がけしたり、音源スピーカーで誘導するという方法をとってきましたが、問題なくお客様は間隔をあけて並んでくださいます。
こちらの音源スピーカーで音声を流すという方法、コロナ禍では大変オススメです。音源をリピート再生することで慣れていないスタッフでもクオリティを上げることができ、飛沫感染のリスクを下げられるからです。
なお、トラメガの使用や通常のガナリを行おうとすると、大声で発声する必要性があり飛沫拡散のリスクが高くなってしまうので、コロナ禍では避けたほうが良いと思います。
また、列にお並びいただく際は、極力会話を控えていただくようにお願いすることも感染防止対策に有効だと思います。
[入場前の場外]
入場待機列、当日券売り場の列、記入テーブル利用者が交差しないような列のレイアウトを考える必要があります。
[場内で列を作る場合(ロビーやコンコースなど)]
列に並ぶお客様と並ばないお客様を明確に分けるために、コーン&バーやポール&ロープで仕切り、接触や交差を防ぎましょう。
待機列がとても長く限界に達してしまった場合には、列を分散させる方法を考えることも必要になってきます。
[再入場の対応]
一時退場口再入場口を分け、入場のお客様と退場のお客様が交差しないような動線が必要だと思います。
会場のスペースの都合上、一時退場口と再入場口を分けることができない場合には、入場と退場のお客様が極力接触しないような動線の確保が必要です。
開場時間を通常より長めに取ることも考えましょう。そうすることで、お客様が自然に分散してご来場くださるようになります。
また、座席ブロックごとに分散入場にご協力をお願いすることも一つの手段です。
例えば、13:00開場、14:00開演の公演の場合、
・2階席のお客様には13:00~13:30のご入場、
・1階席のお客様には13:30~14:00のご入場
にできる限りご協力していただくよう事前告知するという方法です。お客様にとっても、分散入場にご協力くださいとお願いされるよりも、具体的に時間指定していただいたほうが協力しやすくなると思います。
この方法は長野県で開催される公演ではさほど効果的ではなかった(車での来場者が多く早くこないと駐車場が確保できないなどの理由があるため)ため、この点はお客様ごとの判断におまかせすればいと思います。
コロナ禍では、自由席よりも指定席のほうが密を避けられる要素が多いです。
自由席の場合、良席を確保するためには開場前から並ばざるを得なくなり、自然と待機列ができてしまいます。
一方、指定席であれば、初めから座席が決まっているため、お客様も時間に余裕を持ってお越しいただくことができます。
お客様同士そしてスタッフとの接触を極力避けるために、また極力スタッフが声を発しないことで飛沫感染リスクを下げるためにも、これまで以上に各種備品をフル活用していただきたいです。
至る所に貼られているPOPを見れば一目で分かる、暗いところではPOPを光らせる、音源スピーカーから流れる案内に耳を傾ければそれに従いたくなる。お客様が自然と密を避ける行動をとってくださるような工夫や動線の確保が求められていると思います。
私どもイベントナガノが運営をお手伝いする際には、列整理には音源スピーカーを利用しています。案内音源を録音し、それをスピーカーでリピート再生する方法です。
たとえば、「入場をお待ちの際は、足元の印の位置で順番にお並びいただき、密にならないようご協力をお願いいたします」というご案内の言葉。これは新しくお客様が入っていらしたら必ずご案内しなければならないことです。
しかし、これをずっと言い続けるスタッフは疲れてしまいますし、声を出す機会が増えれば増えるほどに飛沫拡散のリスクも増えてしまいます。
同じ言葉を繰り返すのであれば、音源スピーカーに任せてしまえばいいのではないか。それが音源スピーカーに頼ることになったきっかけです。機械では対応しきれない細かな部分のみ、スタッフが声をかけてご案内するという方法で十分です。
たとえば、少し密が気になる場合のみ、スタッフが直接お声がけをして間隔を空けていただくなどです。
ホクト文化ホールにおける運用例はこちらに掲載しております。参考にしていただければ幸いです。
なお、どのような備品が準備されているのかは各会場により異なりますので、事前に会館に問い合わせて確認することをオススメいたします。
人が常にたくさん並んでいる所…というと幕張にある夢の国を想像される方が多いと思います。
あちらでは列整理をするための環境(ポールが固定でローピングで列の形や長さが変えられる)が整っているため整列が容易にできています。
イベントを運営するにあたって同じことをするのは難しいのですが、それを目標とした運営であれば可能です。冒頭にも書きましたがスーパーの列整理など身近なところにやり方やデザインのヒントが落ちておりますので、今後運営を検討される方は日々の何気ない風景にも目を配ってみてはいかがでしょうか。
長野県のイベント情報サイト「イベントナガノ」では2020年3~6月に様々なイベント主催者様を取材し、コロナで中止や休館などで苦しむ声をお聞きしました。
少し古い情報となっておりますが、まだまだ続くコロナでの参考になる部分があるかと思います。コチラも是非ご一読ください!