イベントナガノ・レポート #05 半券回収(もぎり)について

イベントナガノがコロナ禍で様々なイベントを視察・運営サポートしてきた中でのメリット・デメリットを踏まえて、現状でのイベント運営の「ベター」な方法を模索する企画。

今回はチケットの半券回収(もぎり)や非接触型チケット、リストバンドに関しての考察と提案です。イベントナガノでは以下の方法を提案します。

お客様ご自身でもぎっていただくことをオススメします。

( 投稿 / 加筆修正)

手袋をしてスタッフがもぎる? or お客様にもぎってもらう?

コロナ禍での半券回収(もぎり)

コロナ前は、スタッフがチケットをお客様から預かり、ミシン目で切り取り、半券(小さな方)を回収するという段取りで行ってきました。この作業を業界用語で「もぎり」「もぎる」と言います。
しかし、コロナ禍では、不用意に他の方や物に触れないという意識が必要なため、これまで通りのもぎり作業ができなくなってしまいました。スーパーでの金銭の授受をトレーで行うことが一般的になったのも同じ理由からです。

コロナ禍でのもぎりの場面では、主に2パターンの方法がとられています。

ゴム手袋をしたスタッフが、これまで同様にもぎり作業をする

慣れたスタッフがゴム手袋をしてもぎった方が、受付のスピードは格段に上がります。しかし、感染対策の点から考えるとあまり有用ではないように思います。なぜなら、様々な方が触れたチケットに手袋越しで触れてしまうからです
もし、どなたかのチケットにウイルスが付着していた場合、それを触った手袋越しに後のお客様のチケットにもウイルスを付着させてしまう恐れがあります。

お客様ご自身でもぎって、半券を回収箱に入れていただく

今は接触を極力減らすために、お客様ご自身でもぎって、回収箱に半券を入れていただく方法が効果的だと思います。この場合、スタッフは目視で券面を確認するだけで済みますので直接の接触を避けることができます。
なお、スタッフが券面の確認を怠ってしまうと間違ったチケットで入場されてしまう問題が出てきますので、必ず目視することを忘れないように気をつけましょう。

運用例:コロナ禍でのコンサート運営(2)@キッセイ文化ホール

半券切り取りのベストタイミングは?

もぎり(illustAC素材)

スタッフが券面を目視で確認 ⇒ お客様にもぎっていただく ⇒ 回収箱に入れていただくという流れが多くの会場で行われています。しかし、この順番ではもぎり作業で時間がかかるため、受付で立ち止まる時間が長くなってしまいます。その結果、入場に時間がかかり、列が伸びて密の原因になってしまいます。

そこで、受付を通る直前(主催者的に問題がなければ列に並んでいる間)にお客様にもぎっていただく ⇒ スタッフが券面(本券と半券両方)を目視で確認→回収箱に入れていただくという流れの方が比較的スムーズに対応できると思います。
ここでポイントなのが、受付を通る直前にもぎっていただくということです。これよりも先にもぎってしまうと、半券を紛失する恐れがあります。また来場してすぐは、アルコール消毒液で手が湿っているため、受付直前にもぎっていただくのがよいでしょう。

来場者カードの回収のタイミング

来場者カードもチケット半券と同じタイミングで回収します。スタッフは記入漏れがないか大まかに確認しましょう。あまりじっくり見ていると個人情報を気になさるお客様もいらっしゃると思いますので注意が必要です。
個人情報をお預かりするという意識を持ち、他の方からは見えないような回収方法を考える必要があります。たとえば、口の狭いポスト型の回収箱を用意する、もしくは伏せた状態で置いていただくなどが考えられます。

チケット確認をするスタッフと兼任することも可能ですが、スタッフ人員に余裕があれば別のスタッフが担当することが望ましいです。専任スタッフが厳重に個人情報を管理しているというスタンスを見せることができるためです。

非接触型チケットは便利ですが…

QRコードチケットの読み取り

QRコードチケットなどの非接触型チケットはコロナ禍のイベント運営には有効です。そのため、コロナ禍で急速に広まった感があります。
しかし、機械を利用することによるトラブルや、手順の煩雑さが発生しますので、この点は注意が必要です。

特に屋外でのイベントの場合、屋内や夜間のコンサートに比べると認識率が格段に低くなります。また読み取り用スマートフォンの熱暴走などの問題も発生するため、以下のような対応が必要になります。

  • 読み取り用スマートフォンを複数台(受付の窓口x1.5以上)用意し、読み取りが悪くなったら休ませながら対応する。
  • 屋外では日陰で対応するようにする。
  • 念入りにリハーサルを行い、スタッフがスムーズに対応できるようにする。
  • 絶対にトラブルが発生することを念頭において、ノートパソコンでリスト検索できるようにするなどのバックアップ体制を構築しておく。
  • お客様に受付前にQRコードの準備を行っていただくなどの事前告知の徹底をする。

非接触型チケットはまだ規格が定まっていないため、イベントによって対応が異なります。どれが運営しやすい…というものはありませんので、イベント・コンサートごとに工夫しながら対応する必要があるかと思います。

運用例:コロナ禍でのイベント運営(3)@塩尻ワイナリーフェスタ2022

リストバンドの活用

リストバンドとスタッフ(illustAC素材)

フェス、物産展やオープンスペースの会場などお客様の出入りが多いイベントではリストバンドが有効です。
受付を終えた方にリストバンドをお渡しして、イベントが終わるまで身につけていただくという方法です。
リストバンドを付けている=受付をクリアしたということが遠目でも確認できるため、スタッフにとってはお客様の管理がしやすくなります。

初期のフジロックなどではビニール製のリストバンドが主流でしたが、現在では紙製のリストバンドが一般的です。

リストバンドの問題点として、一人で自分の手首に巻き付けることは意外と難しいです。スタッフがお手伝いできればよいのですが、ここに接触ポイントが発生してしまいます。
判断が難しいところではありますが、できる限りお客様ご自身で付けていただいたほうがよいかと思います。しかし、現状、当社でも有効な手段を見いだせておりません。1人で簡単に装着できるリストバンドをご存じの方はぜひ教えてください。

イベント屋からのワンポイントアドバイス

違う公演のチケットを持ってきてしまうお客様がたまにおられます。当社の実感的に年に1~2人くらいですが。
チケットぴあなどのコンビニ発券チケットは字が細かく見逃しがちなのですが(サッカーだと日時や対戦相手、席種・席番など一瞬で読めるかーって言いたくなるくらい細かいです)、ゆっくりでいいのでしっかりと確認(目視)しましょう。

違う公演のチケットの半券を切り取ってしまった場合は半券をお返しし、その公演日までしっかりと保管していただき、公演当日に別の公演で半券を切り取ってしまった旨を伝えれば大丈夫かと思います(違う主催者・担当会社になるので責任は取れないのですが)。
コロナ禍では半券をお客様に切リ取っていただく事が多いと思います。整列時にもぎっていただく場合は、この点も合わせてご案内するようにしましょう。

目次|イベントナガノ・レポート

長野県のイベント情報サイト「イベントナガノ」では2020年3~6月に様々なイベント主催者様を取材し、コロナで中止や休館などで苦しむ声をお聞きしました。

少し古い情報となっておりますが、まだまだ続くコロナでの参考になる部分があるかと思います。コチラも是非ご一読ください!

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